君だけが、ずっと好き。
Tシャツの袖で唇をぬぐって私は立ち上がった。



「…瑛茉」




好きな人のキスって、もっと幸せなものじゃないの?



初めてのキスってもっと思い出に残る素敵なものじゃないの?



どうして…こんなにも胸が痛くて苦しいの…?




「…帰る」




伊吹の家をそのまま飛び出して、雨に打たれながら走って家に帰った。


傘なんかさしてる余裕なくて、雨なのか涙なのか分からないくらいだった。




(お風呂入ったのに、意味ないじゃん…)




伊吹のこと、思いっきりビンタしてしまった。


でも、私怒ってるから。


悲しいんだよ、伊吹。




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