君だけが、ずっと好き。
冷蔵庫から取り出した牛乳はキッチンに置いたまま。



気づけば、ヒーターの前にいる伊吹に後ろから抱きついていた。





…もう、この気持ちは抑えられない。


ううん、抑えたくないの。



1度本人に言ってしまったあの日から

顔を見るだけで口に出してしまいそうだった。





「…………は?」





伊吹の間の抜けた声だけが静かな空間に響いた。




うん、リアクションは想像通り。


1回無視したのに、またかよって思ってるかも。


好きな人いるって言ってたのに、私は今伊吹を困らせてる。




ごめんね、伊吹。


だから…




「私の事…はっきりフッてほしい」




ポツリと呟くと、伊吹の肩がピクっと揺れた。




私が、前に進みたいから。


未練タラタラでずっと伊吹を想い続けるのはきっといつかお互いしんどくなってしまうから。





「…何、言ってんだよ」




私に抱きつかれたまま、伊吹は小さい声でそう言った。




< 267 / 323 >

この作品をシェア

pagetop