君だけが、ずっと好き。
◇旅立ちマーチ
【瑛茉side】
『──穏やかな日差しが差し込み、桜の蕾たちが少しずつ膨らみはじめ、春の訪れを感じる季節となりました。──』
穏やかな、あたたかみのある伊吹の声がホール全体に響き、私はそれに目を閉じて耳を研ぎ澄ませた。
『卒業生代表、天野伊吹。』
舞台の上でスピーチを終えた伊吹は綺麗な姿勢でお辞儀をしていた。
あぁ、私たち卒業するんだなぁ。
そう感じるのは今日だけでも何回目だろう。
胸に飾られた桜の花のブローチをそっと握り、伊吹の姿をただ目に焼きつける。
──3月、別れの季節。
私たちは今日、高校を卒業する。