やがて春が来るまでの、僕らの話。



「はよ」

「おはよう」


翌朝、本当に若瀬くんが迎えに来てくれた。

一人で行くのは心細すぎる学校も、若瀬くんと一緒なら心強い。


頑張るしかない。

そう思うしか、道はない。


「ごめんね、わざわざ迎えに来てもらって」

「至れり尽くせりだよね」

「ごもっともです」

「はは、かしこまってる」


今日はとても天気がいい。

白い雪に太陽の光が反射して、キラキラ眩しくて上手く目を開けられない程だ。



「カッシーに聞いたよ、父親のこと」


眩しさを隠すようにおでこに手を当てながら、隣を歩く若瀬くんを見た。


今から始まるのは父親の話。

当然暗い空気になるって思ったけど……真っ直ぐ前を見て歩き続ける若瀬くんは、いつもと何も変わらない様子だ。



「世の中ってさ、色んな奴がいるから。だから面白がって適当なこと言ったりする奴もいると思う」

「うん……」

「多分自分の経験とか価値観によって、考え方はみんな面白いくらいバラバラだと思うから」

「価値観?」


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