やがて春が来るまでの、僕らの話。






ゴン!


フットサルのボールが思いっきり後頭部にぶつかった。

蹴ったのは一度も話したことのない女子生徒で、彼女は慌てて私の後頭部目がけて飛んできた。



「ごめん谷さん!すっごい音したけど大丈夫!?」



名前は確か、武田睦美(たけだむつみ)さん。

ショートヘアでバレー部で、みんなからはむっちって呼ばれていた気がする。


「試合中にボール見てなかった私が悪いので……」


今は女子フットサルの試合中。

にも関わらず、さっきの陽菜の言葉が頭から離れなくて、私はボールとは真逆の方を向いていた。

どう考えたって私が悪い。


「ほんとごめん、湿布とかいる?」



湿布。

後頭部に、湿布。



「貼れるの?」

「チャ、チャレンジ?」

「いや、なんか絶対遠慮しとく!」

「あはは、だよねぇ」


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