やがて春が来るまでの、僕らの話。
「あの、ありがとう」
「え、なにがなにが!」
まだぎこちなくて、まだ小さい私の声にも三人は反応してくれる。
ちゃんと聞いてくれている。
「私、転校してきて……今日が一番嬉しい!」
友達になるなんて、そんなに難しいことじゃないのかもしれない。
本当はものすごく、簡単なことなのかもしれない。
それでも、なにも知らない小さな町で、不安で孤独で仕方なくて。
誰も見向きもしてくれないこの場所で、明日になるのが憂鬱で、朝になるのが怖かった。
だけど、『希望の光』は何気ない顔して現れる。
全てに見捨てられたわけじゃなかった。
気づいてくれる人は必ずいる。
きっと、想像しているよりも沢山。
あの日、あの時、 笑いかけてくれた三人の顔は、今でも胸に焼き付いている。
今はもう、同じ十二月でも雪が降ることはない場所だけど……
私はみんなのことを、忘れないよ。