やがて春が来るまでの、僕らの話。
それから一週間後、倉田先輩は卒業した。
東京に行ってしまった先輩とは、陽菜が死んでからひと言も話すことはなかった。
もう二度と会うことはないかもしれない。
最後に窓越しに見えた先輩の表情はとても暗くて、もしかしたらもう、この町に戻ってくる気はないのかもしれない。
そう思わせるものだった……
そして翌日。
「じゃあみんな気を付けて帰れよー」
一年生最後の日、終業式が終わった。
明日からは春休み。それが終われば私たちは二年生になる。
あれ以来、隣に座る柏木くんと一度も話をしていない。
若瀬くんとだって、なにも……
いつの間にか普段通りになっているクラスに違和感を覚えながら、私は二人のことが心配だった。
このままずっと、心を閉ざしてしまうんじゃないか。
このままもう、一生言葉を交わすこともないんじゃないか。
もしかしたらそれは、私のせいなんじゃないか、って……
だってあの日、私が陽菜の気持ちを受け止めていたら、こんなことにはならなかったかもしれない。
陽菜が死んだのは、私のせい。
きっと私に責任がある。
そう思わずにはいられなかった……