やがて春が来るまでの、僕らの話。



それから一週間後、倉田先輩は卒業した。

東京に行ってしまった先輩とは、陽菜が死んでからひと言も話すことはなかった。

もう二度と会うことはないかもしれない。

最後に窓越しに見えた先輩の表情はとても暗くて、もしかしたらもう、この町に戻ってくる気はないのかもしれない。

そう思わせるものだった……





そして翌日。



「じゃあみんな気を付けて帰れよー」



一年生最後の日、終業式が終わった。

明日からは春休み。それが終われば私たちは二年生になる。


あれ以来、隣に座る柏木くんと一度も話をしていない。

若瀬くんとだって、なにも……


いつの間にか普段通りになっているクラスに違和感を覚えながら、私は二人のことが心配だった。


このままずっと、心を閉ざしてしまうんじゃないか。


このままもう、一生言葉を交わすこともないんじゃないか。


もしかしたらそれは、私のせいなんじゃないか、って……


だってあの日、私が陽菜の気持ちを受け止めていたら、こんなことにはならなかったかもしれない。



陽菜が死んだのは、私のせい。


きっと私に責任がある。


そう思わずにはいられなかった……


< 136 / 566 >

この作品をシェア

pagetop