やがて春が来るまでの、僕らの話。
昼休み、陽菜に案内されてやって来たのは資料室だ。
ここでお弁当を食べるのが陽菜たちの日課になっているようで、今日から私も仲間に入れてもらうことになった。
「そう、小六の冬にね、ひでに告られたの」
「小六!?……ってことは、えーと」
「四年くらい前かな」
「四年……」
「ひでがね、私のこと好きで好きでしょうがないって言うもんだから、付き合ってやるかと思って」
「おい待て。話偽造しすぎだろーが」
「え、どこが?」
資料室の中には柏木くんと若瀬くんもいて、私たちは四人で机を囲んでお弁当を食べている。
「最初に好きっつってきたのお前だろ」
「違うし。ひでが言ったんだよっ」
「お前の記憶力どうなってんだよ」
「それはひでのほうでしょ!」
「どっちでもいいじゃん。今は好き同士なら同じことだし」
大人な若瀬くんの意見に、二人の争いはすぐに収まった。
「若瀬くんは彼女いないの?」
これだけかっこいいんだからいそうだけど、こんなところで女子生徒を交えてお弁当を食べてるくらいだから、いないのかな。