やがて春が来るまでの、僕らの話。



昼休み、陽菜に案内されてやって来たのは資料室だ。

ここでお弁当を食べるのが陽菜たちの日課になっているようで、今日から私も仲間に入れてもらうことになった。


「そう、小六の冬にね、ひでに告られたの」

「小六!?……ってことは、えーと」

「四年くらい前かな」

「四年……」

「ひでがね、私のこと好きで好きでしょうがないって言うもんだから、付き合ってやるかと思って」

「おい待て。話偽造しすぎだろーが」

「え、どこが?」


資料室の中には柏木くんと若瀬くんもいて、私たちは四人で机を囲んでお弁当を食べている。


「最初に好きっつってきたのお前だろ」

「違うし。ひでが言ったんだよっ」

「お前の記憶力どうなってんだよ」

「それはひでのほうでしょ!」

「どっちでもいいじゃん。今は好き同士なら同じことだし」


大人な若瀬くんの意見に、二人の争いはすぐに収まった。


「若瀬くんは彼女いないの?」


これだけかっこいいんだからいそうだけど、こんなところで女子生徒を交えてお弁当を食べてるくらいだから、いないのかな。


< 14 / 566 >

この作品をシェア

pagetop