やがて春が来るまでの、僕らの話。



お母さんにカルボナーラを作ってもらったこと、あったかな。

記憶にはないのに、どうしてこんなに懐かしい味がするんだろう。

きっと久しぶりにまともな物を食べてるせいかな。



「いつもあんなことしてるの?」



不意に聞こえた声に、パスタを巻く手が止まった。



「お金貰って体売ること、いつもしてるの?」

「………」



男は私と目を合わせずに、グラスを拭く仕事を続ける。

目を合わせたら私が話し辛いと思って、気を遣っているのかな。



「……悪い?」



こんなにも良くしてくれている人に、私の態度は最悪すぎる。

自分でそれが分かるのに、止められない。

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