やがて春が来るまでの、僕らの話。


「陽菜ちゃんだっけ?自殺だった?」


聞かれて、私はただ頷いた。


「そっか」


こんなにも重たい話しをしているのに、南波くんの周りはゆるい空気が流れている。

ふわふわと雲に浮かんでいるような、ゆるい空気……



「いつの話し?」

「……7年前」

「じゃあ7年前からずーっと責めてるんだ?」

「え?」

「ハナエちゃんは自分のこと責めてんでしょ?自分のせいで陽菜ちゃんが死んだって」


私のせいで。

何回繰り返したかな、この言葉……



「自責の念ってやつだね」

「自責の、念……?」

「後悔して、自分ばっかり責め続けてるってこと」


だって他に誰を責めろって言うの?

私以外に責める人なんて……



「そろそろさ、責めてあげたら?陽菜ちゃんのこと」



陽菜を……責める?

なに言ってるの、南波くん。


「なんで死んだんだって。自分みたいな友達がいるのに、もっと一緒にいたかったのに、なんで死んだんだバカヤローって。次は陽菜ちゃんを責める番だよ」



「っ……」




陽菜を、



責める……




「そしたらきっと、前に進めるよ」



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