やがて春が来るまでの、僕らの話。
「7年前、俺の幼馴染の女の子が、自殺した」
「自殺……?」
重たい顔の律くんから出て来た言葉は、同じように重たい言葉だった。
「幼馴染の陽菜が亡くなる3ヶ月前にハナエちゃんが転校してきて、2人は親友になったの」
「……うん」
「陽菜は陽菜で色々抱えてて、ハナエちゃんも色々抱えてて、2人がうまく噛み合わなくなって、ちょっとしたケンカみたいになったとき、陽菜は死んだ」
「……」
「それでハナエちゃんはきっと、陽菜が死んだのは自分のせいだって思い続けてる」
カフェは休日だから混んでいて、なかなか列が進まない。
「でも俺思うんだ」
「うん……?」
「陽菜が死んだのが誰かのせいだったとするなら」
重たい闇を抱えるように、
律くんは言った……
「陽菜とずーっと幼馴染やってきたのに、その間何ひとつ救ってやれなかった俺のせいなんじゃないかって」
「そんなこと、」
「きっとあいつらも、同じこと思ってんだろうな……」
「……あいつら?」
結局この日は杉内の店でみんなでご飯を食べて、家に帰った。
12月の風が冷たくて、だけど俺たちが過ごしたあの町の寒さに比べたら全然で。
まるで違う世界にでも飛ばされたような、不思議な切なさが残る夜だった……