やがて春が来るまでの、僕らの話。


「はい、絆創膏」

「ありがとう」


傷を負ったアキレス腱に絆創膏を貼って、ちょっと足を動かしてみる。


「大丈夫そう?」

「うんっ、歩いても痛くない」

「よかった」


クシャッと笑った彼につられて私も笑う。

笑ったら、何かを思い出したように杉内くんは声を上げた。


「あっ、そうだ!ハナエちゃんに連絡しようと思ってたんだ」

「連絡?」

「あのさ、まだ仕事決まってないよね?」

「うん、全然決まってないけど」

「よかった、じゃあこの店で働かない?」

「この店で…………って、えっ!?」


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