やがて春が来るまでの、僕らの話。
【倉田side】
ガチャ!
家のドアが勢いよく開いたと思ったら、ハナエちゃんが血相を変えて入ってきた。
「律くん!」
「おー、おかえりー」
飛ぶように俺の前に迫って来たハナエちゃんは、目の前で目をキラキラさせている。
なに、どしたの?なにごと?
「あのね律くんっ」
「うん?」
「私、仕事決まったよ!」
「仕事……え、まじで!?」
言葉を理解するまで数秒かかったけど、理解した途端、喜びは体中から溢れた。
「杉内くんのお店で働かせてくれるって!」
「うおまじか!やったじゃん、おめでとう!」
「ありがとう、ほんとにありがとう!」
2人して大興奮だった。
こんなにも嬉しいものかって、俺は自分の就職が決まった時とは比べ物になんないくらいに喜んだ。
2人で万歳して、手を取り合って拍手して。
クラッカーとケーキも用意したかったなって、最早パーティーでも開きたい気分だ。