やがて春が来るまでの、僕らの話。
意外にも早速意気投合している杉内に続いて、次は南波くんを紹介する。
「で、カッシーの隣が南波くん。イラストレーター」
「個展やるから来てくれたまえ」
「え、まじで?俺行きたい」
「好きだねえ志月くん、個展とか美術館とか」
「だってすげーじゃん、俺とは違う感性とかすごい興味ある」
「めちゃくちゃ絵上手いんだぞ!ビビるなよカッシーめ!」
「なんで杉内が威張ってんだよ」
「確かに」
いい感じに場が和んできて、重かった空気が消えていく。
よかった、なんかもう、みんな大丈夫そうだ。
「じゃあ落ち着いたとこで飲み直そうぜ」
「俺ビール~」
「俺もビール」
「んじゃ俺も」
「カッシーは?」
「んじゃ俺も」
「ハナエちゃんは……って、まだ泣いてんの?」
「……わ、私、梅酒」