やがて春が来るまでの、僕らの話。



「私、武田睦美、覚えてないかな?バレー部だった」

「あっ……」



───“そうだ、よかったらお弁当一緒に食べない?”



「武田、さん?」

「よかった、思い出してくれた?」


ショートヘアだった髪がすっかり伸びていてわからなかったけど、武田さんだ。



「谷さん、こっちに住んでたんだね」

「……うん」

「私も大学卒業してね、こっちで働いてるの」

「そうなんだ」


あの町の人たちと再会するのは、やっぱり胸が痛む。

悲しい思い出がありすぎるんだ。


どうしたって胸が痛いよ……


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