やがて春が来るまでの、僕らの話。
「ほらほら、ちゃんとピシッと立たなきゃまたコケるよ」
「ピシッと?」
「そう、シャキッと」
言われた通り、背筋を伸ばすようにシャキッとしてみる。
「それで、手足も伸ばして行進するように歩く」
「こ、こう?」
「そうそう、もっと手を大きく振って、足も上げる」
「こんな感じ?」
「そうそう」
「これでほんとに転ばないの?」
「さぁ、知らね。」
「え、ちょっと!?」
「クハハ!ハナエおもしれぇ」
「くっ……騙された!」
遊ばれていたことに苛立って、歩道に溜まっている雪を手に取り柏木くんに投げつける。
「うわっ、冷て、」
投げつけた雪が首に入ったのか、柏木くんは背中をのけ反り青ざめた。
「……ノヤロー」
ギロリと睨む視線に、ものすごく嫌な予感がする。
柏木くんは両手に大量の雪を持ち、私をもう一度ひと睨み。
「ちょ、待っ、…」
大量の雪を持って迫ってくる柏木くんから逃げるため、私は慣れない雪道を猛ダッシュ。
それなのに、柏木くんが更なるダッシュで追いかけてくる。
「来ないでぇぇぇぇ!!」
「テメェ待てコンニャロー!!!」