やがて春が来るまでの、僕らの話。



死んだのに。


消えたのに。


周りのやつらがいつも通りに笑ってることが信じられなくて、俺とカッシーは取り残されるみたいに孤立していった。



1人で学校に来て、1人で過ごして、1人で帰る。


いつも4人でいた時間全部を、俺たちは1人で過ごすようになっていた。



笑うことも怒ることもない空っぽの日常が、ただ通り過ぎていくのをじっと耐えるだけだった……





『なんかあったらいつでも連絡しろよ』



律くんが大学に進学してから、毎日メッセージが届く。

返信なんて1度もしたことがないのに、それでも毎日欠かさず届いた。


カッシーにも同じメッセージが届いてんだろうなってことは想像できるし、カッシーも返信をしてないんだろうなってこともわかる。


陽菜が死んでハナエがいなくなって律くんも卒業して。


突然2人だけ取り残されたこの小さな町の中で、俺たちの時間は止まったまま、そこから一歩も動けなくなっていた。



心がどっかにいったまま、


死んだように毎日を過ごしながら、カッシーとも言葉を交わさないで、




そのまま何ヶ月も過ぎていった……




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