やがて春が来るまでの、僕らの話。






”死にてぇ”




その言葉が怖かった。


本気で震えるくらい怖かった。


こいつまでいなくなったらどうしようって、


陽菜みたいに死んだらどうしようって。


それを考えたとき、俺の体は得たいの知れない恐怖に襲われた。



みんながどんどん自分の傍からいなくなっていく恐怖。


高校生の俺に、そんなの背負いきれるわけないのに。



カッシーが陽菜に引っ張られていきそうで……



陽菜がカッシーを連れて行ってしまいそうで……



カッシーと陽菜の手を離さなきゃって、


今すぐ引き離さなきゃって、



まじでそんなことを考えた……






「……カッシー」



放課後、何ヶ月ぶりかにかけた声。



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