やがて春が来るまでの、僕らの話。
「ちゃんと話したい。2人で」
「、…」
「ダメ?」
「、」
なにを話すのか、話しながら私はなにを思うのか。
全然想像もできないのに……
「……ダメじゃない」
想像もできないのに、私も若瀬くんと話したいことがいっぱいある気がした。
話さなくちゃダメな気がした……
「じゃあ待ってるから」
若瀬くんと約束を交わして、仕事を再開。
テーブル席の空いたグラスを下げながら、カウンターで1人飲み続ける若瀬くんを横目に見てみる。
あの時、高校1年生だった私の隣にはいつも若瀬くんがいてくれた。
嫌がらせをする女子たちから、守ってくれた。
今カウンターでお酒を飲む姿は、あのときとは違って大人だけど。
なにも変わってないといいなって思う。
若瀬くんの優しさは、なにも変わってないといいなって……