やがて春が来るまでの、僕らの話。
しばらくして休憩から戻ってきた杉内くんが、なんだか浮かない顔をしている。
そんな浮かない顔の杉内くんと目が合うと、彼はちょいちょいっと手招きをして私をカウンターに呼んだ。
「どしたの?」
「クマさんが呼んでるから、裏行ってきて」
「え?」
首を傾げる私の耳に顔を近づけて、杉内くんは小声で言った。
「なんかね、ロッカーの中点検されるけど、変な物入れてないよね?」
「ロッカー?荷物と靴しか入れてないけど」
「じゃあ大丈夫、すぐ終わるから」
「うん?」