やがて春が来るまでの、僕らの話。



言われてすぐ、裏にいるクマさんの所に向かった。



「お疲れ様です」

「あ、来た来た」

「おー、来たか」


裏で待ち構えていたクマさんの隣には、なぜか矢野さんもいる。



「ごめんね、仕事中に」

「いえ」

「実はな、さっきまであったはずの昨日の売り上げが金庫からなくなったんだ」

「えっ」

「それで申し訳ないんだが、1人1人荷物のチェックをさせてもらってて」

「女の子の荷物をクマさんがチェックする訳にもいかないから、私が代わりにチェックさせてもらうけど、大丈夫?」



一瞬疑われているのかと思ったけど、杉内くんもチェックされたみたいだし、みんながされてるなら仕方ないかって思って頷いた。


「大丈夫です」


何もしてないのに持ち物チェックをされるのはあんまりいい気はしないけど、それで疑いが晴れるならって、更衣室のロッカーを開ける。


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