やがて春が来るまでの、僕らの話。


「靴が傷つけられたことがあって…」

「……」

「…カッターでボロボロにされて、…だから今回もまた、誰かにハメられて、」

「ハメられるようなことを、お前が普段からしてるんじゃないのか?」

「、」

「なにも問題のない人間なら、嫌がらせになんて遭わないだろ」

「、…」



なんでそんな言い方……



「…なにも、してるつもりはありません」

「……」

「……私はなにも、やっていません」




もうやだ。


泣きそう……



「いくらやってないって言っても、お前のカバンから出てきたのは事実だ」

「、…」

「金に困ってたか?」

「、」



ひどい。



私じゃないのに。



本当に違うのに。



全然信じてもらえない……



なんで……




なんで…?




「…杉内の知り合いだって言うから採用したけど」

「……」

「身元がハッキリしてない人間は、こうやって必ずなにか問題を起こすから厄介なんだよ」

「、…」



なにそれ……


信じてもらえない理由は、そんなこと?



「今日はもう帰れ。こっちからまた連絡するから、それまでは来なくていい」

「、…」


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