やがて春が来るまでの、僕らの話。



涙を堪えた。


むかついて悲しくて悔しくて。


荷物を持って外に出て、それでも頑張って涙を堪えた。




「、…」



店の前に立ち尽くしたら賑やかな街がうるさくて、胸の痛みがジリジリと大きくなってくる。



身元が分からないと必ず問題を起こすって……


身元が分からないと厄介って……


それってもう、私が生きてること自体が厄介だって、そう言われている気がした。



ねぇ私、みんなとなにが違うの?


なんでこんな風になっちゃうの?



ねぇ、誰か教えてよ……





「、…」




無意識のうちにスマホを出して、探す名前。


無意識に見つけた名前に、通話ボタンを押そうとしたとき、



「あ、いた」



店のドアから出てきた若瀬くんが、すぐ横に立っていた私を見つけて隣に立った。



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