やがて春が来るまでの、僕らの話。



「店の従業員の人に、お前もう帰ったって聞いて」

「……」

「つーか仕事は?まだ終わりの時間じゃないんでしょ?」

「あんまり混んでないから、今日はもういいって……」



スマホを持ったまま考えた。

若瀬くんは、昔みたいに助けてくれるのかなって。

嫌がらせをしてきた女子たちから守ってくれたみたいに、今もまだ私のことを助けてくれるのかなって。


だってもう、私の居場所がどこかもわからない。


どこへ行っても、私の居場所だって思える場所がないよ……




ねぇ、助け、




「あいつら…」

「、」



どこかを見て、若瀬くんが呟いた。

その視線を辿ってみると、制服をきた中学生の女の子が2人。


誰…?



「お前ら、こんな時間になにしてんだよ!」

「、…」



叫んだ声に、女の子2人が振り向いた。


そっか、若瀬くんの学校の教え子、かな……


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