やがて春が来るまでの、僕らの話。
死にたいと思ったことの数なんて、わからない。
私だって何度も何度も思ったから。
もしかしたら今だって、心のどこかでそれを思っているのかもしれない。
そんなことが頭を過ぎる時点で、私はもう、普通じゃないのかもしれない……
「数なんて……わかんない」
おかしいよ、こんな会話。
やっぱり普通じゃないよ……
「今も思ってんの?」
「……」
「死にたいって、今も思ってんの?」
「、…」
夜空を見上げてた柏木くんの視線が、私に下りた。
いつもよりも潤んで見える彼の目に、胸に支えているなにかが解けていくように熱くなる。
私の本音が、
解けていく……
「…死んだら楽なんだろうなって、思うことはある」
「……」
「疲れるんだもん、私の人生……」
「……」
「死んだらこの辛い人生から解放されるのかなって……時々、そう思う」
柏木くんの闇と私の闇が混じり合うとき、なにが起こるのか。
陽菜の死によって生まれた負の連鎖は、私たちには止められないのかもしれない。
そんなことを考える私から視線を外して、柏木くんが言う……
「じゃあさ」
「、」
「じゃあ、一緒に死ぬ?」