やがて春が来るまでの、僕らの話。




ドクン…と悲しい音が鳴ったのと同時に、たった一瞬で目に涙が溜まった。




「……陽菜んとこ、一緒に逝こう」





「、…」





もしかしたら柏木くんは、私なんかよりよっぽど深い闇の中にいるんじゃないかって、


このとき初めて気づいた……




「もう疲れた…」

「、…」

「……もう死にてぇ」



私だって何度も思った。

疲れたって、死にたいって、何度も何度も思ったよ。


だけどそれでも、律くんと再会して、杉内くんや南波くんに出会って、柏木くんと若瀬くんと再会して、女友達が2人もできて……


みんなとの出会いが私を助けてくれたんだよ。


あの頃、私が転校してきて、柏木くんと若瀬くんと陽菜が友達になって救ってくれたみたいに、


私はまた、みんなに救われたんだよ……




ねぇ、


私との再会は、柏木くんにとってなにも意味のないものだったの…?



「私たちが死んだって、陽菜は喜ばない…」



私はもうわかってる……


辛くて苦しくて死にたくなることもあるけど、自殺というものが残された人にどれだけの闇を残すのか。


やっぱりその闇の連鎖を、歯を食いしばって止めなくちゃいけないんだよ……


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