やがて春が来るまでの、僕らの話。




「いかないで、……ッ…お願いだから、…ッ…やだよ、やだ、、…」




誰かがいなくなる悲しみを、もう二度と味わいたくない。


それが大切な人なら、尚更。




「、……ッ、私が一緒にいるから、…」

「……」

「、陽菜の代わりに、…ッ、…一緒にいるから…」

「……」

「だからお願い、死なないで、…」



ボロボロと涙を流してグチャグチャな顔で、必死に繋ぎ止めた。


柏木くんがいなくなったこの世界を想像するだけで、体中を恐怖が包むから。



もしも柏木くんがこの世界からいなくなるときは、きっと私もいなくなるとき。




15歳の恋をしていた私とは全然違う。


柏木くんの傍にいなきゃって、そう思う気持ちがなんなのか、自分でも全然わからない。


だけど肩に回す私の手を柏木くんの右手がぎゅっと握ったから、やっぱり傍にいてあげなくちゃって、強く思った。




気づかなかったのは、グチャグチャに泣く私の涙に混ざって、



柏木くんの涙も、一緒に零れ落ちていたことだ……


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