やがて春が来るまでの、僕らの話。








「あ。」

「あ…」


昨日、ケンカしたままの杉内くんが店の中にいた。

早番で開店準備中のすぐ内くんは、仕事の手を止めて私を見てる。


「……」

「……」



子供のけんかじゃあるまいし、昨日はごめんねって言えばいいのに。

素直になれないこんな性格も、育った環境のせいにしちゃいたい……


「…なに」

「………」



なに。って…


むっとしたように目を逸らして言う杉内くんの態度に、私もむっとなる。



「別に、杉内くんに用があって来たわけじゃない」

「……」

「クマさんに呼ばれただけ」

「そーですか」

「……」


お互いの態度がお互いをむっとさせている。

わかっているのに、譲れない。


「じゃあね」


ふんってそっぽを向くように、奥にある事務室へと向かっていく。

最悪な態度しか取れない私を、杉内くんもシカトをするように最悪な態度で見送った。



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