やがて春が来るまでの、僕らの話。

【倉田side】




「は?え?」


土曜日。仕事が休みだったから、久しぶりにハナエちゃんを街に呼び出した。

街中のカフェで待ち合わせをした俺たちは、落ち合ってすぐにコーヒーを頼んで、それを向かい合わせで飲んでいる最中。

だけど飲みながら彼女が言った言葉に、俺は危うくカップを落としそうになった。


だって今、なんて言った?



「杉内くんと一緒に失業しました」

「……」



失業……。


今、失業って言った?



「また仕事、探さないと」



え、なに、待って。



「杉内くんまで巻き込んじゃって……ねぇ律くん、私どうすればいいのかな」

「……」


好きな子に頼られてる、この感じ。

悪くない、のに。


待って、ちょっと待って。


頭の整理が追いつかない。



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