やがて春が来るまでの、僕らの話。



「なに、どした?」

「いや、ほんとにお兄ちゃんみたいなんだなと思って」

「え?」

「弟を心配する良いお兄ちゃんみたい」


微笑ましく笑う彼女に、つられて俺まで笑ってしまう。


「まぁ年上だし、小さい頃からあいつらの面倒ずっと見てきたからね」

「みんなどんな子供だったんですか?」

「んー、志月はとにかく負けず嫌いで、テストの点とか悪いとすぐ泣いて俺んとこ来てた」

「へぇ、若瀬くん、負けず嫌いなんだ」

「陽菜は俺らの真似して木登りとかチャンバラごっことかしたがるから、女の子なのに傷だらけで。それからカッシーは、そうだなー……あいつが一番よく泣いてたかな」


前を歩く友人たちから、数メートル遅れて歩く俺たち。

空からは、少しだけ雪が降っている。

今日は終業式だけで解散だったから、時間はまだまだ昼過ぎで。

雪が降る空は青く明るく、空気がとても澄んでいる。

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