やがて春が来るまでの、僕らの話。



「ねぇ…」

「ん?」


ここからは本題に入るために、姿勢を正した。

失業って、思いも寄らない事態になっていたから大分予定外になっちゃったけど。

彼女をここへ呼び出した理由は、他にあるから。


今日の目的は、他にある……



「この間の話し、なんだけど」

「、」

「覚えてる、よね?」




“ハナエちゃんが、すごい好きって意味…”




話題が変わった途端、ハナエちゃんは気まずそうに視線を泳がせた。



「覚えてる、けど…」

「返事とか、聞いてもいい…?」

「、」

「…返事」

「……」

「えっと、」



一生懸命考えて、なにかを答えようとしてくれているのが伝わってくる。



のに。



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