やがて春が来るまでの、僕らの話。
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夜中の1時半。
ベッドの上から窓を見上げた。
雨はまだ降っている。
月さえも見せてくれない空は、日中はあんなに眩しい太陽を照らしていたのに。
全然、雨が降り止まない……
「…はぁ」
若瀬くんに送ってもらってから、彼に言われた言葉を思い出してはため息が出る。
私、若瀬くんを傷つけていたのかなって……
あの頃は子供すぎて、彼の優しさに甘えっぱなしだったけど。
きっと若瀬くんを苦しめていたんだ。
ベッドに寝転んだまま、気づいたら深夜2時になっていた。
全然眠たくないから、ただベッドの上でゴロゴロとため息を繰り返す。
テレビも音楽もつけていない、静かな部屋。
そんな部屋の中で、聞こえてくる雨音に混じって耳に届いたのは、スマホの着信音だった。
「…?」
こんな真夜中に誰だろうって、放り投げていたスマホに手を伸ばす。
寝転んだまま見たディスプレイに映る名前は、
『柏木くん』
「え……」
心臓がドクンと鳴ったのは、嫌な予感がしたから。
だってもしかして、柏木くんになにかあったんじゃないかって。
だからすぐに体を起こして、通話をタップした。