やがて春が来るまでの、僕らの話。
【ハナエside】
12月31日、23時15分。
あと少しで年が明ける。
「ふぁ~…」
お母さんと二人でお寿司を食べ終わって、お腹が一杯の真っ最中。
こたつの中で、お母さんは酔い潰れて眠っている。
私も眠いな……
でもまだ紅白終わらないし。
睡魔に負けそうでウトウトしていたら、ブブッとスマホのバイブ音が聞こえてハッとした。
ディスプレイをタップして表示されたLIMEには、柏木くんからのメッセージが映る。
『初詣行くから、11時45分に迎え行く』
「11時45分!?」
って、あと30分しかない!
気の抜けた家モードの格好に焦って、とりあえず急いで準備を始める。
服を着替えて髪をとかして鏡をチェック。
そして30分後……
「おー、準備できてる?」
アパートの前に、柏木くんが立っていた。