やがて春が来るまでの、僕らの話。
座り込む玄関に、ハナエちゃんの涙がポタポタ落ちる。
“嫌い”
そう言われたカッシーの顔から、表情が消えていった。
さっきまでへらへらしてたはずなのに。
またどこか、遠くに消えそうな声で、
「ハナエ……」
彼女を、呼んだ。
カッシーがしゃがみ込んだのは、ハナエちゃんの前……
「…ごめん」
「、…ッ、」
「悪かった…」
俯き、未だ泣いている彼女に伸びてくるカッシーの手を……
触れさせる前に、俺の手が掴んだ。
だって、遠くに消えそうなカッシーの手を触れさせるわけにはいかない。
例え2人の気持ちが通じ合っていたとしても、
2人で倒れる未来が見える以上、俺が引き離さなきゃいけないんだ……
陽菜のところに、行かせるわけにはいかないから……