やがて春が来るまでの、僕らの話。
<杉内side>
「あ、おかえりー」
「ただいま」
開いたリビングのドアから、律くんとカッシーが戻ってきた。
律くんの後ろから小さくついてくるカッシーが、どうしてかいつもの数倍小さく見える。
その姿はなんか、兄ちゃんの背中を追いかける弱虫な弟みたい。
カッシーが指定席の座椅子に座り込む先で、律くんはハナエちゃんの隣に座り込んだ。
そこで律くんは、多分無意識に、静かで深い息を吐いた……
「…腹減ったな」
「うお、いたのかよ!?」
律くんが寄りかかっているソファーの上で、爆睡してた南波くんが目も開けずに呟いた。
「…腹減った。」
「確かに、俺も腹ペコ」
「あ、じゃあ志月もうすぐ来るだろうし、なんか買って来てもらう?」
律くんがそう提案したのと、ほぼ同時。
ピンポンピンポンピンポーーーン
ピンポンピンポンピンポンピンポーーーーン!!