やがて春が来るまでの、僕らの話。



「、…」


わからなくて、怖くて。

外にいるんじゃないかって、いてほしいってドアを開けてマンションの廊下に出たら……


目の前から、買い物袋を持った柏木くんが歩いてきた。


「あれ、お前なにしてんの?」

「、」


安心とか、安堵とか、そんなんじゃなくて……


ただ怖くて……

生きてるのに、怖くて……


震えて、立っていられなくなりそうで、廊下の壁に手をついてどうにか耐えた。


「…なに、してるの」

「なにって、炭酸飲みたくなったからコーラ買ってきた」

「、…」


なに、それ……


「あ、もしかして心配しちゃった?はは、お前考えすぎ」


考えすぎって、


なに、…



「見ての通り、俺は別に、」

「やめてって言ったじゃん、!!」



怒鳴りつけるような声が、勝手に出ていた。


だって、怖くて、怖過ぎて。


それなのに……



もうわかんない。


全然、どうすればこの恐怖が消えるのか、わかんないよ…


「…、もぅ、…やだ、」

「………」


ポロポロ落ちる涙が、俯く先の床の上に落ちていく。

怖くて、また震えが止まらないのに、


今は律くんがいてくれない……


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