やがて春が来るまでの、僕らの話。
<倉田side>
「ハナエちゃん!」
「……ハァ、ハァ……」
過呼吸になって倒れ込んだハナエちゃんを支えると同時、
目の前で、カッシーの足の力が抜けて崩れ落ちるのが見えた。
「っぶねー…」
「、…」
タイミングよく現れてくれた、仕事帰りの志月。
間一髪で、カッシーの体を支えてくれた。
「なにこれ、何ごと?」
「カッシーお前、また薬飲んだろ」
多分こいつまた、ビールと一緒に飲んだ。
「んふふ、飲まねぇと、寝れねんだもん」
「飲んでもいいけど、アルコールと一緒に飲むな」
「ん、」
眠そうに目をトロンとさせて、志月に支えられたまま、カッシーは眠ってしまった。
「いやちょっと、これ俺が運ぶの?」
「悪い、任せた」
志月が来てくれてよかった。
あのまま倒れてたら、カッシーは間違いなく頭を打ってたから。
「どうせ支えるんなら、俺もハナエのがよかったんだけど」
ぼやきながら、志月はカッシーを背負って部屋の中へ入って行った。