やがて春が来るまでの、僕らの話。
「大丈夫?」
「、…」
少し呼吸が落ち着いてきたハナエちゃんに、問いかける。
カッシーになにを言われたのか。
どうしてこんな所に2人でいたのか。
何も答えは返ってこなくて……
俺らもとりあえず部屋に戻ろうって、思ったら。
ハナエちゃんがなにかを、呟いた……
「……ない、よ」
「え?」
支える腕の中で、俺の服をぎゅっと握ったまま彼女は言う……
「…柏木くんのことなんて、好きじゃない」
「、…」
きっと、夜になると不安定になるカッシー。
揺れる精神状態の中、曖昧にしていたことへの確信をつかれたのか。
”好きじゃない”
それが本心だったらどんなにいいか。
ため息に紛れたこいつらへの俺の愛情は、
もしかしたら何一つ、誰にも届いてないのかもしれないな……