やがて春が来るまでの、僕らの話。
「あ、律くんからLIMEだ」
「……!」
聞こえた声に、反射的に若瀬くんへ視線が向かう。
「え、律くん仕事終わらないから来られないって」
「まじで?」
「あら~、エリートサラリーマンはやっぱり忙しいのね~」
律くん、来ないんだ……
「仕事ならまぁ仕方ないか」
「しょうがない、俺らだけで行こっ」
「そうだね、行こ行こー」
ゾロゾロと歩き出したみんなの後ろを、ついていく。
一際目立つみっちゃんが、未だに若瀬くんの腕を掴んで先頭を楽しそうに歩いてる。
その後ろには、南波くんとむっちと杉内くんが3人で賑やかに歩いていて。
「……」
あれ……
あれ……?
柏木くん、は……
「お前、歩く気あんの?」
「、…」
隣から顔を覗くように、ポケットに手を入れた柏木くんが私を見てきた。
「なに、もしかしてこないだのことまだ怒ってんの?」
「こないだの……」
───”だったらもうほっとけよっ!!”
───”…それとも、一緒に謝る?”
───”向こうで一緒に……陽菜に謝る?”
記憶が廻りながらも、どうにか頑張って歩くけど。
人混みがすごくて、うまく波に乗れなくて……
みんながどんどん、先に行っちゃう。