やがて春が来るまでの、僕らの話。
<杉内side>
「ねぇ、カッシーとハナエは?」
「え?」
むっちの声に振り向いたら、2人がどこにもいなかった。
「やだわ、どこに行ったのかしら」
「え、うそ、ほんとにいない、」
人が凄すぎて身動きもままならない状況の中、どうにか辺りを見渡しても2人はいない。
「うそでしょ、」
すげぇ勢いで焦りだした。
だって、律くんに言われてたから。
カッシーとハナエちゃんを2人だけにしないって、前にそう頼まれてたから……
「電話してみる」
スマホを出してディスプレイをスライドさせる。
履歴から見つけたのは、カッシーの名前。
見つけたと同時に発信をタップしようとした、
その時。
夜空に上がる花火の音が、俺の手を一瞬止めた……
「、…」
思わず見上げた視界の先で、大きな花火が夜空に咲く。
バーーン!バーーン!って、心臓にまで響く音と一緒に俺らを照らして、
夜空に舞って、消えていく……