やがて春が来るまでの、僕らの話。



「杉内、電話」

「あ、うん」


若瀬くんに急かされて、急いで発進をタップした。

コール音が聞こえて、10秒20秒30秒……


どれだけ鳴らしても、反応はなし。


「出ない…」

「ハナエちゃんも出ねぇ」


隣でハナエちゃんにかけてくれている南波くんも、心配そうに眉を寄せてる。


「、」


律くんの言葉を思い出した。

2人が一緒にいたら、きっと共倒れになるって。

そう言っていた、あの言葉を……



「俺、捜してくる!」


強引に人を掻き分けて、慌ただしく逆走していく。


「杉内、ちょっと待っ……………え?」



そのとき、若瀬くんの目が…

律くんを見つけていたとも知らずに。


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