やがて春が来るまでの、僕らの話。
よくわかんないけど、ありがとうって言いたいんだなって思った。
ひねくれてるからちゃんと言えないのかもしんないけど、「すっげぇありがとう、杉内がいてくれてよかった、大好き!」って言いたいんだなって、勝手に解釈した。
そしたらなんか、俺はただ、嬉しくなって。
そしたらやばいくらい、泣きそうになって……
誰かの為に泣きそうな自分が、すっげぇいい奴に思えてきて。
そしたら、さ……
「カッシー、お前」
「ん?」
そしたら俺、多分今、すんげぇ嬉しくて笑ってる。
「お前、こんないい親友持って幸せなんだからな!」
バカみたいにそんなことを言う俺につられてか、カッシーも笑った。
「そうかもね」
親友って言葉を初めて受け入れてくれたカッシーが、やっぱり照れてるみたいに俺には見えた。
可愛い奴め!って、勝手に心が満たされていく。
可愛いカッシーと満たされた心に、満足しながら立ち上がる。
「あ、そうだ」
「なに」
「いや、カッシーじゃなくて」
「は?」
「ハナエちゃん」
カッシーの後ろで見送りに来てくれてるハナエちゃんに、視線を向ける。
「あのね、昨日矢野さんから電話きて、ハナエちゃんのことすごい心配してたよ」
「あ、…そうなんだ」
「だから今度、会いに行ってあげたら?」
「うん、そうだね」