やがて春が来るまでの、僕らの話。



「いーじゃん、意味なんてなくたって」

「え?」

「律くんがハナエちゃんと一緒にいたかったんでしょ?だったらそれでいーじゃん」

「………」

「律くんは、人のことばっか考えすぎなんだよ」



面と向かってそんなことを言われたのは初めてで。

なんかちょっと、びっくりした……



「たまには人のことより、自分のこと優先しなよ。じゃないと俺、毎日ここに飲みに来るよ」

「…え?」

「そんなの迷惑でしょ?」

「…いや、来たいなら別にいいけど」

「……。」

「え?」


あ、れ……

俺なんか変なこと、言った?


「だから、そういうのだよ」

「なにが、」

「そーやって相手のことばっか考えないで、律くんは自分のことを優先しなって言ってんの」

「優先…」

「律くん、重いもの一人で背負いすぎ」

「……」

「分けろや、まじで」

「、」

「倒れる前に、俺に分けろ。」

「、…」



南波くんがなにをしに来たのか、その本当の理由がわかって、


なんかちょっと、泣きそうだ……


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