やがて春が来るまでの、僕らの話。
「あいつらのこと、一回見捨ててみりゃいーじゃん」
「………」
「背負いすぎって、そういうことだよ?」
「、」
「律くんは最低だからそんなことを思うんじゃなくて、背負いすぎだからそんなこと思うんだよ」
「………」
「変わりに俺があいつら見ててやっから、律くんは一回見捨てなよ。あいつらのこと全部」
「、」
「俺に分けろって、言ったろ?」
「…、」
弱くて最低な俺の本音を、南波くんが拾い集めてくれる。
心の底から頼りたくなるほど、俺は弱っていたのかな。
来てくれたのが南波くんでよかった。
出会えたのが南波くんでよかった。
南波くんと、友達になれてよかった。
もしかしたら陽菜が出会わせてくれたのかなって。
俺にはこの人が必要だって、そう思って導いてくれたのかなって。
きっとそんなことあるわけないのに。
だけど、出会えたキセキが目の前にちゃんとあるから。
ねぇ、陽菜。
少しだけ。
少しの間だけ、南波くんにあいつらのこと任せていいかな?
見捨てないでよって、怒ったりしない?
ほんの少し。
ちょっとだけでいいからさ。
こんな弱っちぃ兄ちゃんを、陽菜は許してくれる…?