やがて春が来るまでの、僕らの話。



「…あいつ、俺たちといるときは、いつもちゃんと、楽しそうだったよな」

「、…ッ、……うん…」



いつから忘れていたのかな。


陽菜はちゃんと、笑っていたのに。



いつも、



いつだって、



みんなといるときは、楽しそうに笑っていたのに。


そのことを、私たちはいつから忘れていたんだろう……



「……会いたいね、陽菜に」

「………」

「会ってまた、話しがしたい…」


もう二度と会えない実感が、今更強く湧いてくる。

陽菜が死んでしまった実感が、こんなに時が経って、今更一気に押し寄せてくる……




陽菜……



ねぇ陽菜……



会いたいよ。



会ってたくさん話しがしたいよ。



ねぇ、どこにいるの…?



ねぇ、本当にもう会えないの…?



会いたいよ、




陽菜……



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