やがて春が来るまでの、僕らの話。



「杉内?」



なんでかな、俺にはわかる。


会ったこともないし、話したことも声を聞いたこともないけど。


それでもわかるよ。


だってこの絵が、全部を物語ってんじゃん!




「陽菜ちゃん、みんなといるときはすっげー楽しそうに笑ってたんじゃん!」





 



陽菜が死んだ日、私たちの前から光が消えた。


七年間歩き続けてきた道は真っ暗で、前すらもよく見えなくて。


太陽の光でさえ、眩しいと感じることはなかった。



死にたいと思った。


消えたいと思った。


生きる意味なんてないと思ってた。




だけど、でもね。




『希望の光』は、いつだって何気ない顔して現れるから。


モノクロだった世界が、キラキラと鮮やかに塗り変わっていく瞬間は確かにあるから。



キセキが起きたあの日。


そこから繋がった今日の日。


そして、ここから先の未来へと。




『希望の光』




今の私たちにとって、それがなにを指すのか。



答えはまだわからないけれど。



それでも今、私の目の前で、一筋の光がキラキラと光り始めている。



静かで優しい希望の光が、



消えることなく、静かに光っているんだよ……







そして。


陽菜が死んでから、八回目の冬が来た。





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