やがて春が来るまでの、僕らの話。
二人で歩く六時過ぎの空は暗くて、星がキラキラ輝いている。
冬特有のオリオン座は、丁度目の前の空に広がっていた。
「お前、カッシーのこと好きだろ」
「は!?」
突拍子もないけど的を得ているその問いに、私は隠しきれない表情で勢い余った声を出してしまった。
「わかりやす」
「ち、ちが」
「いや、もう遅いし」
「……」
私がわかりやすいのか、それとも若瀬くんが鋭いのか。
多分、どっちもなんだろうけど。
「そんなんだとすぐ本人にもバレるよ。あいつ鋭いし」
「う"…」
「ついでに陽菜にもバレるかも?」
「う"ぅ…」
何も言い返せない。
こんなんじゃ本当に二人にすぐにバレてしまうから。
それだけは避けたいのに……
「どうすんの」
「…なにが?」
「だからカッシーのこと、諦めんの?」
「……」
「それとも陽菜から略奪する?」