やがて春が来るまでの、僕らの話。
あれ以来普通だったから、私もあえて普通にしていたけど……
「俺が前に言ったこと、ちゃんと覚えてる?」
「、…」
───“……一目惚れならぬ、笑顔惚れ?”
あのときと同じ空気を感じて、どうしていいのかわからなくて、また逃げようかなって考える。
でもさすがに二回目は人としてダメな気がして、一端は思い留まるけど……
だけど若瀬くんが、真剣な目でこっちを見ているから。
やっぱり耐えられなくて、逃げようと足を踏み出したとき──
ガシッ
「え…」
私の腕を、若瀬くんがガシっと掴んだ。
「ダメ、逃がさない」
「、、、」
真剣に見つめられて、逃げ場もなくて。
十五歳の私には、こんな状況どうしていいのかわからなすぎる。
私一体、どうすればいいの?
「あの…」
「好きだよ」
「、…」
恥ずかしくて、若瀬くんの顔を見れない……
「あのときより、もっと。本気でハナエのことが好き」
顔、上げられない……
「だから俺と、付き合って」
「っ…」
ドキドキが、口から飛び出してしまいそう。
心臓が、今この瞬間に壊れてしまいそう……