やがて春が来るまでの、僕らの話。
「あー、やっと着いたー……」
「これ帰りとか大丈夫なのか…」
「……死ぬかと思った」
初体験の吹雪に驚愕して、ハナエは未だに俺のコートを掴んだまま離さない。
「もう大丈夫だから、早く靴履けって」
「あ、はい!」
パッと手を離された後、二人で上履きに履き替えた。
「じゃあまたね」
三年の教室へ向かった律くんを見送り、俺たちも一年の教室を目指す。
「すごいね、吹雪って」
「まぁこれはまだ序の口だけどね」
「そうなの?」
「ほんとにひどいと学校休みになるし」
「ひぇ~」
教室に着き、ドアを開ける。
入ってきた俺たちを見て、すぐに駆け寄ってきたのはカッシーと陽菜だ。
「おはよー」
「大丈夫だった?この天気」
二人も登校するのに相当苦労したのか、苦笑いを浮かべている。
「最悪」
「だよねー」
「ハナエ、よく飛ばされなかったな」
「あ、いや、うん」
よくわかんねぇ返事になってんのは、カッシーに話しかけられてるからなんだろうけど。
こいつ、どんだけわかりやすいんだよ。
まじでバレるぞ、そんなんじゃ。