やがて春が来るまでの、僕らの話。



「ほんと、優しいねぇ」


ホットのお茶を飲んでいるカッシーは、いやらしく笑ってこっちを見てる。


「優しくしないと誰かに取られちゃいそうだしね」


ココアを二本、自販機から取り出した。


「誰かって?」


不思議そうにこっちを見るカッシーを無視して、俺は続ける。


「お前さ、俺とハナエが付き合って、ほんとによかったと思ってる?」

「え?」


お茶片手に、もう片方の手はポケットに入れて突っ立ているカッシーは、やっぱり不思議そうにペットボトルから口を離した。


「俺にはそうは見えなかったけど」


「………」



それだけを告げて、カッシーを残し一人先に教室へ戻った。




「……どういう意味だよ」



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